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『文化系トークラジオLifeのやり方|鈴木健介、長谷川裕+Life Crew』の書評レビュー

 

『文化系トークラジオLifeのやり方』という本を読みました。「Life」は、2006年10月から始まって、なんと現在進行形で継続中の長寿ラジオ番組なのです。

 

元々、ここまで続けることは考えておらず、すったもんだと試行錯誤の連続で、10年間も続いてきたLifeというラジオ。

 

自分も最近、ラジオごっこ遊びをしているので、制作者の考えや感情を知りたいなと思って読んでみたのでした。

 

 

『文化系トークラジオLifeのやり方』の目次一部抜粋

  • 新しいものは小さな場所から始まる
  • ラジオメディアの特性
  • 欲しい場所がなければ自分で作ればいい
  • スーパースターのいないチーム作り

 

本の構成は、ラジオ制作に至るまでの裏話的なことを語る部分と、ラジオで実際に議論された内容を語る部分とに分かれています。

 

個人的には特に、前半のラジオ制作にかかわる部分が勉強になりました。

 

新しいものを生み出すとき、それを求めていたのは誰か

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長電話の熱さ…文化系サークルの部室で、あ~だこ~だと議論する楽しさ

 

自分の同世代に向けて、というかもっと言ってしまえば自分自身に向けて、自分が聴きたい番組を作ってみようと考えたのです。

僕自身がこういう場を求めていた

 

大学のサークルのラウンジで、音楽や小説、マンガや社会の話をあれこれ喋るような感じで、学生時代の一番楽しい思い出が再現されているような感覚

 

そういう話が出来る場はほとんどなかった

 

ターゲティングは大切です。新しいものを生み出しても、それが誰にも求められなかったら、長く続けることはできません。

 

しかし、何より自分が求めているというのは大事な要素だと思うのです。

 

いくらそれが、人のためになっている活動であっても、自分の芯に反するような活動であったり、自分の関心とは無関係な活動であれば、続けられません

 

さらに言うと、自分が求めていること、自分がやりたいと思うことをやり続けるだけではなくて、それをやりつつも、これがどのように他の人に役立つのかをプラスで考えていけば、息の長いコンテンツになったりします。

 

まずは、自分の情熱・心・感情からスタートして、走らせながら試行錯誤していく、それはラジオだけでなく、ブログにもつながる話だと思います。

 

欲しい場所がなければ自分で作ればいい

考えてみたら、昔から好きなんですよ。ニッチなところでゼロから自分たちで何か作る、みたいなこと。

 

こういうの、良いですよね~。ブログ記事でも、音声でも、物でも、はたまたイベントでも何でも、ゼロから作り出すっていうのは、地球上になかったものを自らの手で生み出したということです。

 

地球上に新しく価値を生むということに、かなり興奮を感じます。

最初の内は、どうせ稚拙なモノしか生み出せませんが、それでも、生み出し続けている限りは「世の中の役に立っている(=私は生きてても良さそう)」と思えるので(笑)

 

ラジオメディアの特性

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この章は、かなり勉強になりました。自分のラジオに役立つというだけでなくて、ブログにも、同じようにあてはまる部分が多くあると感じたからです。

 

ラジオはおそらくいちばん対話性が強いメディアだと思うんです。リスナーは自分自身に話しかけられているようにラジオを聴いています。

壇上から、あるいはテレビの中から多数の聴衆に向けて話すことなら、「ふーん」と聞き流すことができても、ラジオの場合は、自分に向けて話しかけられているので、その都度…リアクションが喚起されやすい。

ラジオってそういう1対1の会話に近いところがあって、だから聴いていて自分も何か言いたくなるんです。

 

聴いてくれている方の耳に直接、自分の声(と声に乗った意見・主張)が入るわけです。文章で書いたものを読んでもらうよりも、与えてしまう影響は大きい。

 

そして、その反動として、聴いている側の意見も呼び起こしやすいということです。

特にLifeのような番組は、番組自体が会話の連続なので、「わかんない」「納得できない」ばかり続くと聴けなくなってしまう。

できるだけ一方通行にならずに、リスナーが疑似的に会話をしているような水準に高めたいわけです。

 

もちろんそれは、誰もがわかるような、誰もが納得するような話をするということではありません。それはつまらない。

 

ただ、ラジオの前で首を傾げて聴いている人がいることを想像するのが大事だと思います。

 

コンテンツを作っているとき、実際に作り手の目に見えているのは、ブログの更新画面に打ち込まれている文字だったり、録音しているんだったら録音ソフトの何分っていう数字だけです。

 

しかし、世の中へ出せば、それを見てくれる人、聴いてくれる人がいるわけです。

 

「ラジオの前で首を傾げて聴いている人」という表現がされていますが、ブログ運営者であれば、目の前に打ち込まれている文字を追うだけでなく、

 

「自分の書いた記事が表示されているスマホ・パソコンを見ながら首を傾げて読んでいる人」に想いを馳せないといけませんね。

 

ラジオ番組で、一番の理想は「あ、俺が気になっていたのはそのことだったんだ」「そうか、私の疑問はそれだったんだ」というふうに、自分の中でぼんやりして言語化できていなかったものを言い当てている感じをリスナーに持ってもらうことです。

 

これは「共感」ですよね。ここまで引き上げられれば文句ナシ!なのかもしれませんが…なかなか難しいのが現状です。

 

受け手の共感を作れるコンテンツだなんて、…作れたら最高だよなあ?(笑)作り方知りたいよ…(小声)

  

Lifeリミックス実況中継

ラジオで取り上げられていた話題はこういったもの。

  • クリスマス資本論
  • 信じさせる論理、信じさせる倫理
  • 動員と革命~10万人で何をしようか 

 

この本は2013年に出版されたものですから、5年前ですし、そこそこ古い類の書籍に入ると思うのですが、どれも興味深い。

 

特にクリスマスの消費合戦は、気付かない間に洗脳されてたなと改めて思い返しました。ここ数年は、クリスマスが来ても何もしないんですけど、昔はケーキとか食べてたなぁって。

「クリスマスは恋人と」という物語は、いまに至るまでバッチリと生き残り、その物語に乗れないと、さまざまな鬱屈だったり、リア充爆発しろだったりという感情が生まれているという現状について、…

 

本編では「クリスマス物語」の話でしたが、これは他の場面でもよくある話だと思います。

 

例えば「青春コンプレックス」とか。高校生なら、放課後に仲間と部活で汗を流す、制服を着たまま帰りに寄り道をして遊ぶ、文化祭を楽しむ、バンド活動をしてライブをする…

 

何でもいいですけど、そういういわゆる「青春物語・・に乗れなかった人は、鬱屈した感情を抱え込んだりします。悪化すると、大人になっても引きずってしまう人がいる。

 

参加すべき「物語」に参加できずに置いて行かれた(もしくは参加はしたけど上手く出来なかった)とき、そういう疎外感は尾を引くことが多いですよね。

 

他にも、「大学受験物語」「就職活動物語」「結婚物語」等々、いっぱいあります。

 

各種「物語」は、社会が作り出した幻想です。本来的には、参加してもいいし参加しなくてもいい。それだけのことなのですが、幻想が存在することで、それに乗れない自分は”劣っている”と感じてしまうのです。

 

そしてその「物語」を作っている(もしくはあえて強固にしている)のは誰なんだろうか、と考えると…資本主義の闇を感じるわけなのでした、、、

 

番組の持つ雰囲気作り、スタート時のノリ

「専門家が素人に知識を伝授してやる」という感じや、逆に「素人が聞いてわからないものは悪である」みたいな感じがLifeにはない

斬新で誰もやってないようなことに挑戦し、主張しようとすれば、当然だけれども反発や無理解にさらされることになりますよね。

 

そうしたものに対して強く主張し、啓蒙していこうという気分ではなかったので、「ああもあるけど、こうもある」というフラットで、文化系の部室トーク的な番組の方向性が生まれたのかなと。 

 

「クリエイティブしようぜ~~」くらいのノリだったのかもしれません。

 

確かに、これには同意できるところがあって、私の場合、新しいモノを立ち上げる時に、張り切って準備していったものほど失敗しています。

というか、そういうやつ全滅してる気がする(笑)

 

ぬる~っと始まった物ほど、知らない間に長く続いていることって割とあるような気はします。

 

変に力が入っていない分、気安く続けられるし、ぬるっと始まるという事は、そもそもそのコンテンツのテーマが自分の中から無理なく出てきた、ということでもあると思うのです。自分が元から持っている物を使っているだけ。

 

つまり、自然体でも出来ちゃうことなんだと思います。だから、続けられる。そして、続けられるから、試行錯誤に耐えられる。さらに、試行錯誤に耐えられるから、良いものができる…かなり良いスパイラルです。

 

熱を冷まさないこと

新しい番組を作るために自分に何ができるかを考えていた。これはもう、ひとつのコミュニティだと思ったんですね。

 

そういう場ができると、いかにしてその熱を冷まさないようにみんなを鼓舞できるかということを考えるんですよ。

 

「熱を冷まさないようにする」というのは、かなり重要なポイントですよね。

 

大勢で何かやるならば、チームひとりひとりの熱を冷まさないように配慮する必要がありますが、一人でやるときだってそうだと思います。

 

POINT!
  1. 熱が冷めないように何かをして気持ちを保つ
  2. 熱が冷めないうちに急いでとりかかる

 

私は、何かを作るにあたっては、この2つが大事だと思っています。なかなか思う通りには出来てないんですがねww

 

記事を書くならば、体験で得てきた感情・感覚だったり、心が動いたことだったり、そういうのが冷めないうちに文章にすることはとても大切ですよね(強い自戒を込めて)

 

というわけで、『文化系トークラジオLifeのやり方』の読書感想文でした。

 

私と鮭氏が絶賛試行錯誤中のラジオ

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