松島の霊場「雄島」をゆく!霊場の島で朽ちる岩窟を探検する

※ご連絡※
画像が表示されない記事が多々あり、全力修正中です。ご迷惑おかけしております。リクエスト頂ければ優先して修正します

日本三景のひとつ「松島」は、宮城県でも人気の観光スポットです。歩いて渡れる島がいくつかあり、散策ができます。中でも中世の頃に供養霊場だった「雄島おしま」は、岩窟が島のいたるところにあり、仏像や石塔が多数安置されている様子は俗世を離れたかのようです。

松尾芭蕉がおくの細道で訪れ、あまりの光景に圧倒され、句も詠めないくらい絶句していたとされるスポットでも有名です。

日本三景

儒学者の林春斎はやししゅんさいが、「日本国事跡 考」で卓越した三つの景観として取り上げたのが日本三景の起源と言われています。

  • 松島(宮城県)
  • 天橋立(京都府)
  • 宮島(広島県)

松島観光といえば、通常は遊覧船で島めぐりをして瑞巌寺と五大堂を見学して終わるのが定番コースではありますが、実は徒歩で行ける範囲に観光資源がまだまだたくさんあります。

遊覧船乗り場や瑞巌寺周辺には多くの人がいて混み合っていますが、雄島まで来る人は少ないです。穴場の場所でもあり、人混みを避けてゆっくりしたい人におすすめです。

雄島は、瑞巌寺の奥の院ともいわれている霊地で、徒歩で20分もあれば雄島を一周できます。各地から数えきれない僧侶たちがやってきて、祈りをささげてきた跡が残っています。

渡月橋は此岸と彼岸をつなぐ橋


渡月橋(3.11震災で流されたが復興。現在は渡れるようになっている)

朱塗りの渡月橋で、ここから雄島へ渡れます。松に覆われた雄島は神秘的で、かつては多くの修行僧が修行に励む霊場でした。

渡月橋は別名「別れ橋」とも呼ばれています。悪い過去と決別する、悪縁を切る、といわれています。かつての修行僧たちが雄島に入るときに渡月橋を渡り、俗世と縁を切ってきたことがその由来です(転じて、カップルで一緒に赤い橋を渡ると縁が切れて別れる等々いわれています)。


岩窟に囲まれた神秘的な空間

入口から左へ進むと、岩窟に囲まれた場所に出ます。ここは、見仏上人が修行していた跡(妙覚庵・見仏堂)といわれています。

12年間、雄島に引きこもり、法華経を唱え続けました。これを知った鳥羽上皇が、雄島に松の苗木を送ったことから「松島」という名前が付いたといわれています。

岩窟に刻まれた祈りの跡


雄島には現存する岩窟が約50箇所、かつては108箇所あったといわれる

雄島のいたるところに岩窟があります。その中には、仏像や石塔があり、法名が刻まれています。修行僧の厳しい修行の痕跡が色濃く残っていることがうかがえます。静かな空間でひたすらに経を唱え続けた人々の姿が浮かぶようです。立ち入るのも恐れ多い、厳粛な空間が広がります。

雄島にある岩窟は、修行僧が「のみ」を使って削って作ったものです。壁を見れば、のみの跡が残っていることに気がつきます。

これだけの洞窟をのみだけで彫るのには、途方もない時間と労力と精神力が必要だったはずです。その修行僧はどんな想いで何を祈りながら、のみを進めていったのでしょうか。


そびえたつ岩に囲まれた雄島の散策路


頼賢の碑

「頼賢の碑」は奥州三古碑のひとつで、国の重要文化財です。1285年に妙覚庵の主だった頼賢らいけんは、22年間も雄島を出ずに暮らしました。見仏上人が再来したと弟子たちに仰がれ、頼賢を偲んで建てられた石碑が建物の中にあります。他にもたくさんの修行僧がここに集まり、巡礼者も絶えませんでした。

松尾芭蕉と曾良が訪ねた地


芭蕉と曾良の句碑

「朝よさを 誰まつしまぞ 片心」
芭蕉作
朝から晩まで、松島旅に心が奪われています。片想い中の人を待っているかのような気持ちです(雰囲気で意訳)
「松島や 鶴に身をかれ ほととぎす」
曾良作
松島は本当に美しい。おや、そこのほととぎす、優美な松島とつり合うのは鶴だろう。鶴になって、松島にふさわしい姿になってくれ(雰囲気で意訳)

松尾芭蕉は曾良とともに、雄島を訪れています。芭蕉が松島の景色に感動するあまり、句を詠めなかったといわれています。おくの細道には、「曾良は句を詠んだが、私は句も詠めず、眠れない状態だった」と記載されています(参考:松尾芭蕉「おくのほそ道」の足跡を訪ねて

昼の景色もよかったが、日が暮れて月が海に映る様子も美しいと芭蕉は伝えています。松島周辺に宿泊して、同じように夜の松島で月を鑑賞するのもよさそうです。

芭蕉豆知識「松島や ああ松島や 松島や」
芭蕉が松島に圧倒され、絶句して句を詠まなかった様子をパロって、芭蕉はここで「松島や ああ松島や 松島や」と詠んだ、と弄られていたりします(実際には芭蕉の句ではなく、「松島や さて松島や 松島や」という田原坊の句があります。
景色が美しすぎて句が詠めなかった芭蕉の話が同時に掲載されたため、混同して伝わっているのではないか、といわれています)

松島の美しい景色をゆっくり堪能

遊覧船で島めぐりもできますが、すぐに通り過ぎてしまいます。雄島からは静かにゆっくりと松島湾に浮かぶ周辺の小島を鑑賞できます。遊覧船の上からは違う角度で景色が楽しめます。


松島湾に浮かぶ小さな島々を眺める


福浦橋が遠くに見える

松島 雄島の基本情報

所在地〒981-0213
宮城県宮城郡松島町松島浪打浜24
アクセスJR仙石線「松島海岸駅」徒歩6分
駐車場なし
料金無料

こちらも読まれています

  1. 会津の酒造「末廣」嘉永蔵見学と日本酒の試飲を楽しむ!仕込水で淹れた珈琲が飲める喫茶店「杏」

  2. 山寺(立石寺)御朱印注意点【説教と写経の話】山寺で御朱印貰う予定の方に向けて

  3. 広電とフェリーを使って宮島へアクセス。料金、一日乗車乗船券の特典について。何でも食べる鹿にご注意。

  4. 野口英世青春館、左手を手術し勉学に励んだ会陽医院跡を見学する

  5. 山形まるごと館「紅の蔵」でくくれのアップルパイを食べよう

  6. 山形の民芸陶器「平清水焼」梨肌に青み掛かった梨青磁【七右エ門窯】

  7. 信州安曇野「大王わさび農場」美しい緑の中を散策する絶景スポット

  8. 八幡坂のはこだてイルミネーションで幻想的な雰囲気の夜散歩に耽る

  9. 草津の湯畑ライトアップは何時まで?幻想的な光景【画像】美しい光に癒されよう

  10. 青森県を代表する景勝地「奥入瀬渓流」を短時間散策!服装・靴・所要時間・散策マップと注意点

  11. 弘前城の天守閣移動と石垣工事|見学入場OK!見どころ簡単解説

  12. 「羽陽男山」山形の男山酒造見学に行ってみたが

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. 平泉の国宝が目の前に!特別展「中尊寺金色堂」現地レポート(上野…

  2. 亀戸七福神巡りのコース詳細解説!授与品(色紙・御朱印)・見どころ…

  3. 柴又七福神巡りのコース詳細解説!授与品・見どころ・散策マップ(…

  4. 富山に来たら名物定番駅弁「ますのすし」を食べて帰ろう!

  5. 完走メダルが貰える10kmのマラソン大会一覧【旅ラン初心者向け】

  6. Toyama City memories explain in more detail

  7. Toyama Unazuki memories explain in more detail

  8. 秘湯「名剣温泉」宿泊記ブログ!黒部峡谷鉄道トロッコで行く秘境の…

  9. スタバ富山環水公園店!世界一美しいスタバの開放的なテラス

  10. 欅平温泉「猿飛山荘」硫黄泉の源泉かけ流し