山形県といったら何と言っても「山寺」。こちらは山形旅において欠かせない場所です。一番上の奥之院まで約1000段ありますけれども、登った先には美しい景色が待ち受けています。
さらに、それだけの階段を、そして豊かな緑の中をひたすら無心で登ることによって、自分と向き合う時間も取れます。良いリフレッシュの機会になるかと思います。
山寺は納経について最も保守的なスタンスを取ってまして、ライトに訪れた旅人の中には悪い感想を抱く方もいらっしゃいます。そのあたりに関して考えたことや心構えを残しておきます。
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山寺の御朱印、写経せずに説教される参拝者たち ~これから参拝される方へ心構えをお伝えします~
- 山寺には御朱印の数が約10種類程ある。根本中堂や奥之院だけでなく、途中の山内支院でも各所で頒布(山内支院では書置きがそのまま置いてあることも多い)。
本来、御朱印は写経を納経し、その印として頂くもの。山寺は御朱印に関して保守的といいますか、伝統的な立場を貫くスタンスです。そのため、御朱印を(納経もせず)観光土産のように楽しく頂こうとする雰囲気に非常に敏感です。
納経せずに御朱印を頂こうとする参拝者に対して、こういった旨を伝え、写経を促す説教をすることが山寺では非常に多々あります(特に、根本中堂・4つの山内支院・奥之院にて)。
普通にお伝え頂ければよいのですが、少々その言い方がキツかったり(受け手によっては嫌味っぽく感じたり)されることがしばしばございます。その結果、参拝客の中には「嫌な思いをした」「不快だった」との感想を持たれる方もいらっしゃいます。
- 右の大きな建物は開山堂。立石寺を開いた慈覚大師像が安置されている。
- 開山堂の隣にある赤い小さな建物は納経堂。真下の窟に慈覚大師が眠っている。
さて、山寺といえば上記左側アングルの写真が非常に有名ですよね。美しい山景色の中に佇む岩上の2つのお堂。右は開山堂といって、立石寺を開いた慈覚大師の像が置かれています。
そして左にある赤くて小さな納経堂。納経堂とは、写経を納める建物です。さらに、その納経堂の真下にある入定窟に慈覚大師の骨が眠っているといわれています。
私も含め、参拝客の皆さんは、この開山堂と納経堂を大きな目当てに山寺にやって来られるのではないでしょうか。にも関わらず、あの赤いお堂が何のための建物なのかも知らず、その真下に誰が眠るとも知らず、写真だけ撮り、御朱印だけ貰い、階段多くて疲れた~と言って帰ってゆく大勢の参拝客の姿に、お寺側がムッとするのも当然だと思ったわけです。
このことを考えると、立石寺の方々が納経を重要視しているのは当たり前です。相手方の敷地内にお邪魔している以上、大人として相手の気持ちを蔑ろにするような行動は慎みたいところです。もちろん、だからといって語気荒めに嫌味付きで説教することについては賛同し兼ねますけれども…(小声)。
- 登山口の麓付近にある日枝神社で頂いた御朱印帳。他の場所で心理的に頂き辛い方は、こちらで頂くのが個人的には良いかなと思っております。
実際に行ってみて思ったことを記してみました(あくまで個人の感想なので悪しからず)。御朱印を書いていただけないわけではございませんし、支院には書置きが無人の状態で頒布されていることもあるので(奥にはいらっしゃいますが)、各々に応じた参拝の仕方をすればよいかと思います。これから参拝される方々の参考になりますように。
山寺参道と登山口、1000段の煩悩払い開始
- ここから頂上の奥之院まで約1000段ある。気合い入れてスタート。
- 仙山線山寺駅。
- 奥之院まで行って帰ってくると2時間ちょっとかかる。途中で御朱印を頂いたり、参拝したり、ゆっくり写真を撮ったりする時間を考慮して多めに見積もった方が良いかも。
- だし蕎麦、1200円(税込)。参拝後の疲れた体にひんやり冷たいお蕎麦が沁みる。
山形駅から電車で20分弱で山寺駅に到着です。駅から山寺までは徒歩10分程度。お土産屋さんや食事処が並びます。腹ごしらえをどのタイミングでするのか迷うところですが、ここで有名なのが美登屋の「だし蕎麦」です。だしは山形郷土料理で、夏野菜と香味野菜を刻み、醤油などで味付けしたもの。せっかく来たなら食べてみると良いかも。軽食は、根本中堂と山門の間にある土産物店でもいくらか提供されているので(玉こんにゃくとかソフトクリームとか)そちらでもOK。
さっそく山寺頂上の奥之院まで、ここから1000段ほど。頑張りましょう。出来れば朝の早い段階でスタートすることをおすすめします。というのも9時半を回ったころから団体客(中国)が急に増え始め、割とカオスな状況になったので、ゆっくり見たい方は早めが良いです。写真にもたくさんの人が映り込んでしまいますし、そこそこの騒がしさも感じたので計画を立てる際はその点も考慮するとより良い参拝にできると思います。
根本中堂
- 根本中堂は国指定文化財。木造の薬師如来坐像が安置される。
- なで布袋。
登山口をスタートして最初に目に入る根本中堂には、慈覚大師作の(と言われている)薬師如来坐像が安置されています。身体の都合等で上まで登られず、ここまでの参拝にされる方もままいらっしゃいます。
お堂向かって左手に御朱印所がありますが、注意点は冒頭に述べた通りです。
松尾芭蕉像と句碑とせみ塚「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」
- 松尾芭蕉。
- 曽良!
芭蕉と曽良の像が2体同じ場所にあることに少しだけ興奮。
- 「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」。短冊に歌を書き、この地に埋めたと伝えられることから、せみ塚と呼ばれる。
- 元禄2年(現在の)7月13日に、芭蕉は山寺に訪れた。
松尾芭蕉の「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」は誰しも聞いたことのある歌です。1689年に山寺を訪れた芭蕉がこの地を詠んだ句です。「蝉の声」から来る「せみ塚」は、登山口から約20~25分程度登ったところにあります。
山寺日枝神社で御朱印帳と御朱印
- 日枝神社。
- 登山口の麓付近にある日枝神社で頂いた御朱印帳。他の場所で心理的に頂き辛い方は、こちらで頂くのが個人的には良いかなと思っております。
芭蕉句碑の先には日枝神社があります。大きな大木は慈覚大師が植えたと伝えられています(山形で一番大きいらしい)。御朱印帳と御朱印を頂きました。※こちらでは必ずお釣りの無いように用意しましょう。
- 立石寺宝物殿。山寺の文化財が収められている。9時~17時/冬期間(12月~3月)は休み。/大人200円, 子供100円
- 鐘楼。
立石寺宝物殿にも入るつもりだったのですが、この日は休館で残念。
山門で拝観料を納める
- 山門。ここから修行の道。
(上)山寺の拝観券。山門から先は拝観料がかかる(大人300円)。
- 四寸道。一番狭い道で、道幅は14cmしかない。これだけ狭いのでここを踏めば、慈覚大師の足跡も踏めるだろうとのことで親子道や子孫道とも呼ばれるらしい。
姥堂を過ぎると四寸道と呼ばれる非常に狭い道があります。よく注意して足元を見てみてください。さらに、四寸道の真上には開山堂と納経堂が位置しますので、上空を見上げることも忘れずに。このまましばらく進むと、先程松尾芭蕉の項でご紹介した「せみ塚」があります。
- 弥陀洞。
仁王門と山内支院
- 仁王門。邪な煩悩を持っている人は通るなと両脇の仁王像が睨んでいる。
仁王門から先は院が点在しており、各所で手を合わせられるようになっています(性相院、金乗院、中性院、華蔵院)。また、それぞれで御朱印を頂くこともできます(書置きが置いてある場合もあります)。ただし注意点は冒頭の通り。
- 圧倒的階段。
- 奥之院手前の休憩所で買ったタオル。自宅からタオル類を持ってくるのを忘れていたので銭湯用にどこかで買おうと思っていた。タオルは変えたが、結局銭湯は行かずじまい。
奥之院の手前に開山堂があります。先に開山堂へ行くこともできますが、順路としては奥之院と大仏殿に行ってから、下山の流れで立ち寄るのがスムーズです。
奥之院と大仏殿
- 奥之院と大仏殿前の広場。
- 修行の岩場。険しい岩場で修業を行う。登れるのは修行僧のみ。
- 三重小塔(重要文化財)。
開山堂と納経堂と五大堂~ 麓から1000段の景色、山寺展望台へ
- 開山堂と納経堂。
- 最上義光公御霊屋。納められているのは義光公と家臣、合計10名の位牌。
- 記念殿。大正天皇が山寺を参拝した際にここで休憩なされた。
- 五大閣からの景色。山寺頂上にある展望台。
開山堂の右手には階段があり、ここから五大堂(展望台)へと向かいます。うっかりすると見逃しがちですが、せっかく頂上までやってきたのですからぜひとも展望台へ行きましょう。眼下には美しい自然、山々が広がります。朝方で少し靄がかかっていましたが、むしろそれが良かった。
山寺の参拝でした。往復2000段ということになりますが、日頃のトレーニングのおかげで余裕もあり、自然を存分に楽しみながら進めたのが良かったです。そろそろ3年前に挫折した宮島の弥山にリベンジしても良いかもしれない。お疲れ様でした。