山全体が修行と信仰の場「山寺・宝珠山立石寺」見どころ

山寺やまでら立石寺りっしゃくじ)」は、長い階段の先にある絶景が多くのメディアで取り上げられるなど有名なお寺です。慈覚大師円仁じかくだいしえんにんが開山したといわれています。奇岩に囲まれた奥之院までの道のりは、ふもとから片道1時間。煩悩を消すための1015段の階段を登り、上を目指します。

片道1時間とはいえ、山内寺院や句碑、史跡と見どころが点在しているので飽きることはありません。気づいたら上まで到着してます。開山堂の背景に広がる山々の景色は絶景なので、山形に来たらぜひ参拝することをおすすめします。

慈覚大師円仁
15歳で比叡山に登り、最澄に師事しました。遣唐使として唐に留学していて、天台宗を大成した人物です。唐を旅しながら書き記した「入唐求法巡礼行記にっとうぐほうじゅんれいこうき」は、日本人による初の本格的な旅行記といわれています。

山寺参道と登山口|ここから1015段の煩悩払い開始

仙山線の山寺駅から徒歩5分で登山口入口に到着します。登山といっても、整備された階段で道も開けているので、動きやすい恰好なら問題ありません。

頂上の奥之院までは、山寺駅から行って帰ってくるだけで往復2時間かかります。途中で御朱印をいただいたり、休んだり、ゆっくり景色を見たりする時間を考慮すると、もう少し多めに見積もっておく方がよいです。

また、静かに景色を堪能したい方は朝早めの行動が吉です。昼前あたりから混み始め、中国の団体観光客の方々が増えてきます。

参拝前に腹ごしらえがしたければ、山寺駅から登山口へ向かう道中に「美登屋(みとや)」という蕎麦屋さんがあります。こちらでいただける「山形だし蕎麦」はひんやりとして美味しいのでおすすめです。

山形の郷土料理「だし」を使ったお蕎麦

【山形だし蕎麦】山寺参道の老舗蕎麦屋「美登屋」で参拝前後の腹ごしらえ

根本中堂

参拝をスタートして最初に目に入る根本中堂こんぽんちゅうどうは、国指定文化財です。国内でもっとも古いブナ材木造建築です。木造の薬師如来坐像が安置されていて、こちらは慈覚大師作といわれています。

身体の都合等で上まで登られず、ここまでの参拝にされる方もままいらっしゃいます。

お堂向かって左手に御朱印所があります。

根本中堂の御朱印「法灯不滅」

ご本尊の薬師如来の梵字の朱印、中央には「法灯不滅(不滅の法灯)」と書かれています。不滅の法灯とは、約1200年前に比叡山延暦寺に最澄が掲げ、現在まで消えることなく灯され続けている灯火のことです。山寺は、比叡山延暦寺からその灯火を分燈されています。

法灯不滅と油断大敵
最澄は「明らけく、後の仏の御世までも、光伝えよ法の灯しび」と平和の願いを込めて点灯しました(仏の光、法華経の教えを表す光を、末永く消えることなく、すべての世の中を照らしますように)。この灯火は油を燃料にしており、油をやすと火が消えてしまうため、つぎ足す必要があります。油を断つと、比叡山で学ぶ僧侶がいなくなってしまうことを意味し、これが「油断大敵」の語源になったといわれています。

招福布袋尊(なで布袋)

根本中堂には、招福布袋尊があります。布袋さまの体を撫でながら、お願いごとをします。たくさんの参拝客に撫でられているので、布袋様の体はピカピカに磨かれています。

松尾芭蕉と曾良の像「おくのほそ道」で訪ねた地

松尾芭蕉像

曾良像

山寺は、松尾芭蕉と曾良が「おくのほそ道」で訪ねた地です。元禄2年(現在の暦でいう)7月13日に訪ねました。芭蕉はここ山寺で「しずかさや 岩にしみ入る 蝉の声」と詠みました。

「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」
岩々にしみ入っていく蝉の声が、山寺のひっそりして寂しい情景を際立たせている。私の心もこの山寺の情景と同じように、静かに澄み渡っていくようだ(雰囲気で意訳)
おくのほそ道とは
芭蕉は西行を崇拝していました。西行の500回忌である1689年を機に、残り少ない人生を想った芭蕉は、自分の俳諧の完成のために旅に出ました。おくのほそ道は、このときの旅の紀行文です。

せみ塚

芭蕉が詠んだ上記句の短冊をここに埋め、立てた石塚が「せみ塚」と呼ばれています。芭蕉像からは少し離れ、登山口を入って約20~25分登ったところにあります。

山寺日枝神社

山寺はたくさんのお堂で構成されていますが、日枝神社は唯一の神社です。山寺を開山する際に、山寺の山岳一帯の守護神として祀ったのがはじまりです。

山寺日枝神社の御朱印帳

山寺日枝神社の御朱印「山王日枝神社」と書かれている

日枝神社にある大きな大木は、慈覚大師が植えたと伝えられています。山形で一番大きな木だそうです。

立石寺宝物殿

宝物殿に入るつもりでいたのですが、この日は休館でした。山寺の文化財が収められている場所です。

立石寺宝物殿の営業情報
  • 営業時間:9:00~17:00(季節変動あり)
  • 休館期間:12月~3月(4月以降でも臨時休館あり)
  • 電話:023-695-2002
  • 料金
    • 大人200円
    • 子ども100円

山門

山門(以降、有料ゾーン)

山寺の拝観券

山門で拝観料を納めます(大人300円)。拝観券には松尾芭蕉の句が書かれています。

四寸道(幅は約14cm)

姥堂を過ぎると「四寸道」と呼ばれる非常に狭い道があります。よく注意して足元を見てみてください。山寺の中で一番狭い道で、道幅は約14cmしかありません。これだけ狭いのでここを踏めば、慈覚大師の足跡も踏めるだろうとのことで、親子道や子孫道とも呼ばれます。

一寸って何センチ?
約3.03cmです。有名な一寸法師いっすんぼうしは、約3cm程度の大きさだったことになります。ちなみに一尺は、その10倍の30.3cmです。

さらに四寸道の真上には「開山堂」と「納経堂」が位置します。上空を見上げることも忘れずに。このまましばらく進むと、先ほど松尾芭蕉の項でご紹介した「せみ塚」があります。

生い茂る緑の道を進んでいく

仁王門

ここまでで徒歩30分程度の地点です。仁王門では、邪な煩悩を持っている人は通るなと両脇の仁王像が睨んでいます。欅材で作られた美しい門です。

山内支院

仁王門から先は院が点在しており、各所で手を合わせられるようになっています(性相院、金乗院、中性院、華蔵院)。また、それぞれで御朱印を頂くこともできます(書置きが置いてある場合もあります)。

性相院(しょうそういん)

ご本尊は阿弥陀如来です。お堂内にある毘沙門天は、運慶うんけい作といわれています。

運慶の作品
運慶は、平安時代末期~鎌倉時代初期に活躍した仏師(仏像をつくる職人)です。力強く豪快な作品を手掛けてきました。最も有名な作品は、奈良県の東大寺南大門にある金剛力士像(国宝)です。

東大寺南大門の阿形(左)と吽形(右)

金乗院(こんじょういん)

ご本尊は延命地蔵菩薩です。寿命を延ばしてくれる仏さまです。特に乳児が短命で亡くなったりしないように信仰されてきました。

中性院(ちゅうせいいん)

ご本尊は阿弥陀如来です。撫でると病気が治り、ぼけ封じに効くといわれている「おびんずる様」があります。

最上義光公霊屋

また向かい側には、最上義光もがみよしあき(山形藩の初代藩主)の霊を祀る「最上義光公霊屋」があります。家臣を含めて約10名程の位牌が安置されています。

最上義光はどんな人?
当時の出羽国(山形と秋田)で小さな勢力でしかなかった最上家を大名まで上り詰めさせた、勇猛果敢な戦国武将です。ガタイが良く、筋力が人並外れているだけでなく、豪猛で勇敢な性格だったようです。

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華蔵院(けぞういん)

ご本尊は、聖観世音菩薩しょうかんぜおんぼさつです。聖観世音菩薩は、人々の苦しみの声を聴いて救いの手を差し伸べてくれる仏さまです。

三重小塔(重要文化財)

華蔵院には「三重小塔」という重要文化財があります。中を覗いてよく見てみると、小さな三重の塔があります。日本で一番小さな三重塔です。また、華蔵院は山寺の中でも特に、悪縁切りの絶縁スポットと言われています。

険しい階段

【絶景スポット】開山堂と納経堂

開山堂と納経堂

山寺の中で最も有名な場所が、開山堂と納経堂です。右の建物が「開山堂」で、立石寺を開いた慈覚大師じかくだいしの像が安置されています。

左の小さな赤いお堂は「納経堂(写経を納めるお堂)」です。納経堂の真下にある入定窟には、慈覚大師の骨が眠っているといわれています。納経堂は山寺山内でもっとも古い建物です。

近づいてみるとこんな感じ

開山堂と納経堂は、美しく映える山々を背景に、山の断崖にそびえたちます。特に、紅葉の季節はきれいです。一般の参拝客でも、開山堂の近くまで行くことができます。

「記念殿」大正天皇が山寺を参拝した際、休憩された場所

開山堂の右手に階段があり、ここから五大堂へ行ける

見逃しそうですが、開山堂の右手に階段があります。

たくさんの階段を登ってきて疲れているかもしれませんが、ここはめんどくさがらずに必ず行くことをおすすめします。断崖絶壁から山内を一望できる「五大堂」がこの先にあります。

【絶景スポット】五大堂の展望台

澄み渡る朝の空気と山々の絶景

「五大堂は」開山から30年後に建てられました。五大明王を祀ります。断崖にお堂が突き出る形で建っており、眼下には美しい自然、山々が広がります。山寺を護り、天下泰平を祈る道場です。

五大明王
代表的な5名の明王を指します。
  • 不動明王ふどうみょうおう(五大明王のリーダー、大日如来の化身)
  • 金剛夜叉明こんごうやしゃみょうおう(悪を食べる)
  • 降三世明王ごうざんぜみょうおう(仏の教えに従わないシヴァ神を改心させた)
  • 軍荼利明王ぐんだりみょうおう(有害な障害を取り除く)
  • 大威徳明王だいいとくみょうおう(すべての悪を降伏させる、阿弥陀如来の化身)

断崖絶壁にせり出すように建つ

五大堂内

奥之院と大仏殿

右側が「奥之院」、左側が「大仏殿」

山寺の頂上、一番奥にあるのが「奥之院」です。向かって右手の建物が奥之院で、山寺の中でもっとも神聖な場所です。奥之院のご本尊は釈迦如来と多宝尿来で、慈覚大師が修行中に肌身離さず持ち歩いていた2つの像が秘仏として安置されています。

左手の建物は「大仏殿」です。金色に輝く5mほどの阿弥陀如来像が安置されています。

大燈籠

日本三大灯籠(※諸説あり)の一つと言われている燈籠が奥之院の手前にあります。

山形県銅町で鋳造されたものです。銅町は鋳物で有名な場所で、山形城の二ノ丸広場にある有名な最上義光の騎馬像も、山形鋳物です。

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山寺(立石寺)の御朱印について

山寺日枝神社の御朱印帳

根本中堂の御朱印

山寺では10種類の御朱印がいただけます。ただし注意点がありますので、御朱印に関する詳細は下記の記事をご参考ください。

四寺廻廊の朱印も頒布されています。

四寺廻廊

松尾芭蕉が巡ったとされる慈覚大師円仁が開いた東北地方の四寺をめぐる巡礼です。結願したら、最後のお寺で記念色紙がもらえます。(かっこ内)は最後にもらえる色紙に記載されている漢字です。

  • 平泉中尊寺(尊)
  • 平泉毛越寺(夢)
  • 松島瑞巌寺(鼎)
  • 山寺立石寺(忍)

山寺(宝珠山立石寺)基本情報

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